日々の糧」カテゴリーアーカイブ

新しいぶどう酒は、新しい革袋に入れるものだ

「だれも、新しいぶどう酒を古い革袋に入れたりはしない。そんなことをすれば、ぶどう酒は革袋を破り、ぶどう酒も革袋もだめになる。新しいぶどう酒は、新しい革袋に入れるものだ」
『新約聖書』「マルコによる福音書」2章22節

人の体の細胞は、一説には約6年ですべて入れ替わると言われています。つまり、人間は6年で生まれ変わる、と言ってもいいでしょう。そう考えると、昨日の自分よりも明日の自分の方が、実感はできないかもしれませんが、成長している、ということになります。
そのように成長しているのに、「小学生のままがいい」、と小学7年生、8年生というわけにはいきません。人間は、成長の過程にあわせてふさわしい教育の場に移っていく必要があります。小学生だった自分は中学生(新しいぶどう酒)となり、小学校(古い革袋)から中学校(新しい革袋)に移らなければならない、ということです。もちろん、中学生の場合は、新しく高校に入学する、ということになります。
信愛生のみなさんは、いつかは大学やその他の学校に進学することになると思います。その時、みなさんは信愛で成長したことにより新しいぶどう酒となり、古い革袋となった信愛という学校を巣立ち、大学などの新しい革袋に入っていく、というわけです。
信愛を卒業し、社会で活躍するようになった時にみなさんが、信愛という学校を、古いながらも昔懐かしい、愛着のある革袋と思ってもらえるように、私どもも頑張ってまいりたいと思います。

あくまでも忍耐しなさい

聖書の言葉と聞くと、身構えてしまうかもしれません。しかし、ヨーロッパやアメリカでは多くの人が聖書に親しんでいます。世界一のベストセラーは、聖書なのです。ここでは、聖書の言葉をみなさんに味わっていただき、私なりの雑感を書き留めていきたいと思います。
入試対策室副室長 山本茂樹

「わたしの兄弟たち、いろいろな試練に出会うときは、この上ない喜びと思いなさい。信仰が試されることで忍耐が生じると、あなたがたは知っています。あくまでも忍耐しなさい。そうすれば、完全で申し分なく、何一つ欠けたところのない人になります」
『新約聖書』「ヤコブの手紙」1章2~4節

 私は高校3年生を担任する時、必ず生徒に、「自分の好きなことを一つ、我慢しなさい」と言っています。私自身の受験の体験から、我慢するということの大切さを知っているからです。
今の生徒たちであれば、何を我慢すればよいでしょうか。スマホ、ゲーム、音楽、マンガ……。それらを我慢すれば、それに費やしていた時間を、勉強にあてることができます。いや、勉強でなくても、健康管理のために少しランニングをしたり、早めに就寝したり、時間を有効に使うことができるのではないでしょうか。
 しかし、何よりも我慢することで培われるのは、精神力です。受験(あるいは人生そのものと言ってもよいかもしれません)とは、思うようにならないことの連続です。心が折れそうになることもあるでしょう。そんな時、大好きなことを我慢することができた経験を持っている人ならば、きっと乗り越えることができるはずです。
 我慢と忍耐は、ほぼ同義と考えてよいでしょう。聖書の言葉を糧に、みなさんも自分が我慢できているか、忍耐できているか、考えてみてください。

「ミミズの話」

 目もない耳もない。手もなければ足もない。色は黒い。日の当たる所よりも日陰が好きときているから、色ばかりでなくて性格も暗そうだ。ミミズはそんな生き物です。
ドロの上をはいつくばって動き回り、ドロの中にもぐりこみ、ドロを食ってはドロを出す。ミミズはそんな生き物です。  これでは「そんな生き物」が「損な生き物」と響きかねません。
 しかし、そんなミミズを四十年という長い年数をかけて研究した人がいます。進化論で有名なあのチャールズ・ダーウィンです。ダーウィンはミミズの観察研究を一八三七年にロンドンの地質学会において「土壌の形成について」という論文の中で発表し、その研究を継続して、ついに『ミミズの作用による肥沃土の形成およびミミズの習性の観察』を出版しました。それが一八八一年のことです。その翌年にダーウィンは七十三歳でその生涯を閉じるのですから、その生涯の半分以上をミミズの観察研究に費やしたことになります。そしてその半生をかけた研究から引き出された結論は次のようなものでした。
「全土を覆うすべての肥沃土は何度もミミズの消化器官を通ってきたのであり、また、これからも何度も通ることになるだろう。」
 この結論に対して、これは容易に予測できることですが、ちっぽけなミミズにそんな大きな仕事ができるわけではないという推測から、「ミミズのか弱さ、その小ささから考えて、ミミズがそんなことをやったとは到底考えられない」という反論が出されました。しかし、ダーウィンは「それは単なる先入観から言っているだけで、事実の観察に基づくものではない」と応じて、「私の調査によれば、どんなに少なく見積もっても、一エーカーあたり、一年に約十五トンの土を摂取し、排出している」と述べています。念のために書いておくと、このダーウィンが出した結論は現在でも最先端の内容を持つものとして認められているそうです。
 目もない耳もない、手もなければ足もない。
 色は黒くて、性格も暗そうな。
 ミミズはそんな生き物です。
 ドロの上をはいつくばり、ドロの中にもぐりこむ。
 ドロを食ってはドロを出す。
 ミミズはそんな生き物です。
 そんなミミズが自分に与えられた口と消化器官を使ってやりとげる仕事も尊ければ、そんなミミズに注がれたダーウィンのまなざしも尊いものです。
 こう書いておいて、『創世記』の一節を結びということにしておきましょうか。

『神はおつくりになったすべてのものをご覧になった。見よ、それは極めて良かった』